地表利用の地熱冷暖房
地熱をそのまま冷暖房に活用する方式には、地表部分の地熱を利用するタイプと地中深い部分の地熱を利用するタイプがあります。
この二つは地熱をそのまま利用する点では同じなのですが、冷暖房の効果や設置費用など多くの点で違いがあります。
そこでこの二つの地熱冷暖房方式の中でも、地表部分の熱を利用する方式の特徴をチェックしてみましょう。
地表部分の地熱を利用するタイプの地熱冷暖房は、設置費用が比較的安価で電気などの動力を使わずに効果を得られるという点が大きな長所です。
基礎の形を工夫して床の下を土で埋める形になるので、設置する際の費用は比較的安価で済みます。
床下から直接地熱を室内に取り込むので、送風機など他の設備機器が必要ないところも大きなポイントといえるでしょう。
長年使用しても、メンテナンスなどの必要もありません。
地表の熱を利用する冷暖房は、1階の床下全面の地熱を冷暖房に活用できるところも大きな特徴です。
広い床面いっぱいを活用できるので、その分冷暖房の効果も高くなります。
このようにメリットが多い地表の地熱を利用する地熱冷暖房ですが、大きな弱点もあります。
地表近くの地面は気温の影響を受けやすく、長い期間暑さや寒さが続くと、地表部分の温度も外気温に近くなってしまうのです。
そこで季節が変わる時期は冷暖房効果が比較的高いものの、本当に暑かったり寒かったりする時期には、冷暖房効果も落ちてしまいます。
温度の調整が効かない点も、大きな弱点といえるでしょう。
地熱を直接利用している作りなので、不要な場合にも床の温度が地表の温度に近くなってしまいます。
また暖房の際に、床の温度が低いままとなりやすいところも弱点です。
地熱では床面の十分な暖かさが得られず、エアコンなどで冷暖房を行っても、床の温度が上がらないこともあります。
もし床暖房を行っても、熱も多くが地面に逃げてしまうので効率が悪くなります。
地表の熱を利用する冷暖房は、暖房にはあまり向かない方法ともいえるのです。
では地熱を直接利用する地熱冷暖房の中でも、地中の熱を利用する方式の特徴について、ちょっと詳しく見てみましょう。